第4章「繋がり」

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「私……どうすれば良かったのかな」  美鶴くんが告白してくれた時点でOKしたら、きっと今のようにはならなかった。  でも、中途半端な気持ちで付き合うのって失礼だと思う。   『かざみちゃん。今日のこと聞いたよ? 色々大変だったね』  携帯が震える音に気が付いて画面を眺めると、アプリの通知画面に桐野さんのメッセージがあることに気付いた。 『ねえ、ちょっとだけ話さない? 夜の八時に近くの本屋さんに集合するような感じでどう?』 『無理に来なくてもいいからね?』  桐野先輩にまで噂が広がってたんだ。  そりゃそうだよね、相手が相手だもん。 『いえ、お話したいです。会って直接』 『そっか! ありがと。じゃあ、よろしくね!』  ドラマに出てくる主人公のOLさんが『ここからが正念場!』と意気込んでいるスタンプが送られてきた。  しかもボイスつき。お金がかかるやつだ。  桐野先輩って意外とミーハーだったりするのかな。  夕方の六時三十分。  ほのかに漂ってきたチーズの匂いが夕飯の時間を知らせてくれていることに気付いて、携帯を置いた。    確か今日のお任せメニューはカルボナーラだったっけ?  うちのカルボナーラは牛乳や生クリームを使わないんだよね。  元々は、この作り方が普通なんだってお爺ちゃんは言ってたけど、私は生クリームを使ったほうが好きだったりする。
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