第4章「繋がり」

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 私が喋り終わった後、しばらくの沈黙が続いた。  時々、粉チーズをかけたり麺を啜る音が聞こえたけど、お父さんは特に何も言わないままだった。  だけど、 「後悔だけはするなよ。お前はおれに……父さんによく似ている」 「お父さんは、何か後悔してるの?」 「いいや、おれは……母さんから告白をされたから結果的には後悔していない。ただ、男としては惚れた女に『愛している』の一言でも発すればよかったと思う。まあ、母さんが積極的すぎだったから、おれが告白するタイミングを与えられなかったんだが……」  これ、私じゃなかったら多分、お茶の間が冷えてるんだろうなあ。  お父さんが私に対して何でも言うのは、今に始まったことじゃないから馴れてるけど。 「あと……夜道には気をつけろ。この頃は暁光学園の生徒たちがパトロールをしているおかげで犯罪が激減していると聞いたが、女子が夜に散歩をするのは感心しない。だが、お前の交友関係に茶々を入れるのは良くない」 「娘が夜に会う人。お父さんは気にならないの?」 「ならんと言ったら嘘になるが、かざみは人付き合いに慎重だ。危ないことはしないだろう」 「なんでもお見通しなんだね」 「かざみはおれの慎重さと母さんの御節介……あとは、親父の頑固さを受け継いでいるからな。長く離れていようと、お前の本質は何も変わっていない」
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