第4章「繋がり」

6/24
前へ
/168ページ
次へ
 これ、遠回しに成長してないって言いたいのかな?  でも、未成年の子供に夜の散歩を許可してくれているわけだから、信用されてるって考えた方がいいのかも。 「考えすぎるところも、おれにそっくりだ」  限りなく無表情に近い笑い方をしているお父さんが、パスタをもぐもぐする。  他の人が見ても、私たち親子は似たもの同士なんだと思う。 「もう少し自分の事を認めてやれ。じゃないと、おれがお前の代わりに色々と認めなくちゃいかんことになる。かざみはいい子すぎて困る。我慢しすぎだ。親に安心させるな」 「ふふっ……これ絶対に親が言うことじゃないよ」 「親だ」 「いや、そうじゃなくて……っぷ、あははは! もうダメ限界!」  奇天烈な発言がツボに入って、フォークに巻きつけたパスタを口に入れられない。  そんな私に視線を向けたお父さんの顔は、穏やかな笑顔だった。  恥ずかしがるわけでもなく困るわけでもない、優しげな表情だった。 「大人になれば自由と責任がつきものだ。子供のうちは自由にやれ。やりすぎたら、ちゃんと叱ってやる」  いつも側でいるわけじゃない。  だけどちゃんとお父さんしてるなあって思う。 「そんなこと言ったら、お母さんに怒られちゃうよ? いいの?」 「一緒に怒られてくれ……」 「いや、そこは嘘でも『一緒に怒られてやる』って言ってよ」 「娘にそういう嘘を吐くのは、親としてどうかと思う」  (おおとり)隼人(はやと)。  私のお父さんは、少しズレてるけど、不器用で優しい人だ。
/168ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加