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第5章「恋と愛」
《実録・桐野警察24時》
「御崎美鶴の嫁よ。これも何かの縁だ! 貴様を歌と踊りで鼓舞してやろうではないか!」
「えぇ!? 雨も上がったし、やめたほうが……」
「歌います!!」
雨上がりの夜。
剛健と合流してかざみちゃんを探すために働いてもらうとした私は、衝撃的な光景を目の当たりにした。
街灯に照らされたグラウンド周辺。
その片隅で蠢いていた彼氏が、ひとりでミュージカルを演じていた。
演目はアラジン。完全に私の趣味だ。
もしかして、私に見せようとしてくれてるのかな?
濃い顔に似合わないことしちゃって……可愛いんだから。
なんて頬を緩ませていると、隣には探していたはずの後輩がドン引きしている姿が……。
微笑ましい光景がお巡りさん案件だったことに気付いた私は、一直線に駆ける。
「剛健! お前は私の可愛い後輩に、半裸でナニさらしてくれとんじゃぁああああああああ!!」
「きゃらぶき!?」
全力疾走からの飛び蹴りが、歌って踊る彼氏の脇腹にクリーンヒット。
変質者となった剛健に天誅を下した私は、少し濡れているかざみちゃんを抱き寄せた。
……剛健が私に代わって相談に乗っていたことを知るのは、それから日にちが経った頃の話。
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