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「そうだ、みんなで集合写真撮りましょうよ。私、くるみの成長を撮ろうと新しいデジタル一眼買ったのよ」
「姉貴、今日持ってきてるの?」
「ええ。あ、でも三脚が無い」
「翠ちゃん、多分俺のカバンに入ってるわ」
田中さんの三脚に翠さんのデジタル一眼レフをセットして、皆ソファーの周りに集まる。
「ほら、くるみ、蒼くんのお膝においでー」
花村さんがデレデレと相好を崩して、くるみちゃんを手招きする。
だが、くるみちゃんはぶんぶんと首を横に振った。
「えっ、なんで!?パパとママの次に好きなの蒼くんだって言ってたじゃん、いっつも蒼くんスキスキって言ってくれてるじゃん!?」
花村さんがショックを受けた顔をする。
「しゃんばん!」
くるみちゃんが指を2本突き立てる。
「3番?くるみ、指が一本足りないよ」
八神さんの大きな手が、小さなくるみちゃんの指をもう1本立てさせる。
「ママが1番、パパが2番、蒼くんが3番だろ?」
「ママとパパは、とくべちゅ」
そう言って、また首を振るくるみちゃん。
「じゃあ、1番は誰なんだよう。保育園で好きな子できちゃったの?」
花村さんが口を尖らせると、くるみちゃんは
「いちばん!」
と叫んで、ビシリと俺を指さした。
一瞬の沈黙の後、大爆笑が起きる。
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