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「ハハハッ、翠、これは相当な面食いだぞ。ちゃんと一番王子様っぽいのを選んでる」
八神さんが目尻を下げて笑う。
「くるみ、人を指さしちゃ駄目よ」
そう言いながらも翠さんは笑いが止まらないようで、目尻に涙を溜めている。
「ひ、ひどい。今日会ったばかりなのに・・・、じゃあ、次は蒼くん?指の2の方が合ってたんじゃないの?」
くるみちゃんはムッとした顔をしたかと思うと、トコトコ歩いて
「にばん!」
そう声高にのたまって、陽向の手を掴んだ。
「ええーっ!?」
花村さんの絶叫とみんなの爆笑が混ざり合う。
結局、くるみちゃんは花村さんの膝の上を断固拒否し、俺の膝に鎮座して写真におさまった。
その場でデジタルデータを貰って、皆で共有できるようにパソコンで写真をアップロードする。
くるみちゃんのお陰で、みんな屈託のない、いい笑顔だ。
陽向も曇りのない、とてもいい顔をしている。
そう、小太郎の写真に写っているあの笑顔のように。
「オムツだって取り換えてやったのにー。うちに遊びに来た時、いっつも帰りたくないって号泣してたのにー」
花村さんに泣きつかれて、笑いをこらえながら慰めている陽向を、皆の笑顔が取り囲んでいる。
そうだ。
この写真も大きく引き伸ばして、小太郎の写真の横に飾ろう。
皆からの愛に包まれて、心からの笑顔を取り戻した、陽向の記念写真を。
それは、とてもいい考えのように思えた。
< 完 >
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