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「後悔?」 「ああ。シノブは口がきけないという大きなハンディキャップがあったのに、俺が無茶な脱走計画に乗らせてしまったんじゃないかって。 お前は二人だと目立つから別々に逃げようと提案した。いつも大人しいシノブにしてはそこはやけに強く主張したし、俺も一理あるって賛同した。 だけど、もしかするとお前は自分の方が俺より見つかりやすいって覚悟してたんじゃないかって、後になって気付いた。 お前は口がきけなかったし、ペットパーティに連れ回されて沢山の人に面が割れてる。俺の足手まといにならないように別行動にしようって言ったんじゃないかって」 僕が黙ったまま微笑んでいると 「あー、やっぱりそうだったのか!」 と言いながらレイは頭をガシガシ掻いた。 「もしかしたら、沢井に捕まってしまったかもしれない。どうしてちゃんと群馬の工場まで送り届けてやらなかったんだろうって、何度も後悔した」 「ふふふ、レイはやっぱり優しくて、兄貴気質だね。大丈夫だったよ。ちゃんと工場までたどり着けたし、そこの工場長の酒田さんがとてもいい人で親切にしてもらったんだ。 僕はずっとレイに感謝してたよ。僕一人だったら、あそこから逃げられなかった。レイにはいくらお礼を言っても足りないぐらいだと思ってた」 「そうか・・・それなら良かったよ」 レイは安堵の表情を浮かべた。
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