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「それに、今回も沢井の事故死のことを知らせるために、僕のことを探し回ってくれてたんでしょ?」
「人の死を喜ぶべきじゃないけど、俺はこのことを知って、やっと自分を縛っていたものから開放されたと思ったんだ。これで、こそこそせずに堂々と生きていける、新たなスタートが切れるって。
俺さ、惚れてる女が居て、もう2年近く同棲してるんだ。俺と同じ歳だし、彼女が結婚したそうにしてるのも、子供が欲しいと思ってるのも分かってたんだけどさ。
戸籍をいじるのが怖かったんだ。俺の場合、アル中の親父に借金のカタに売り飛ばされたから、戸籍をいじるとそこからバレるんじゃないかって。
だけどこれで直接の債権者はもういないと思ったら、これで俺も彼女と幸せになれるって思った。
だけどその前にシノブも開放してやらなきゃと思ってさ。お前はあの家に行く前にもひどい経験をしてたから、少しでも背負ってるもの軽くしてやらないとって。
あと、仮に無事に逃げ切れていたとしても、ちゃんとまともに暮らせてるのか自分の目で確かめたかった。
そうしないと俺がずっと引きずってしまいそうだったから、これは安心したかった俺の自己満足なんだ」
「だけど、実際に動くのってなかなか出来ないことだと思う。僕たちが脱走してから随分経っているんだ。それこそ、もうどこに居るか分からないって片付けるのが普通だよ。それなのに、あんな群馬の山奥まで探しに行ってくれて。
確かに僕たちは寝食だけじゃなく異常な体験まで共にしたけど、一緒に居たのは半年足らずだよ?それなのにここまでしてくれて。
レイ、ありがとう。本当に感謝してる」
レイは照れくさそうに頭を掻いた。
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