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「ねえ、あの・・・今日は最後までして。・・・ちゃんと征治さんと繋がりたい」
これが、陽向のお願い?
ほんとに聞いてくれる?と念押しして、満足気な顔をしたお願い?
たじろぐ俺に、瞳を不安げに揺らす。
「あんまり気が乗らない?あの・・・えっと・・・」
そこでまた、ぼぼぼっと首まで真っ赤になりながら目元を自分の腕で隠し、小さな声で呟いた。
「もう、その・・・綺麗にしてあるから・・・」
なんだって?
すぐに言葉が継げずにいると
「もう、僕、大丈夫だと思うんだ。怖くないしパニック起こしたりしない。それに、今日は特別な日でしょ?だから・・・」
いつもより早口で言いつのる。
目元を覆う腕の隙間から俺の表情を窺っているのが分かって、その腕を掴んでおろさせる。
「なんで今日綺麗にしたの?」
「え、あの、マナーかなと思うし・・・」
「なんで今日、綺麗にしたの?」
今度は「今日」の部分を強調して同じ問いを繰り返す。特別な日というのはベッドに来てから俺が口にした言葉だ。
「今日・・・だけじゃなくって・・・えっと・・・少し前から・・・」
気まずげに視線を泳がせる。
ああだめだ、上から覆いかぶさって、こんな風に問い詰めたらまるで尋問だよな。
ティッシュで互いの腹に飛び散ったものを拭い、陽向と抱き合う形で横になった。
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