2人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
体の方も徐々に回復したが、俺はもう現場では働けない体になったため、また本社の古巣へと帰れることになった。
ああ、本当に助かったのだ。
俺は、あの女に感謝しなくてはならない。
そして、あの爺さんにも。
あとでわかったことだが、あの爺さん、どうも見覚えのある顔だと思っていたら、俺のじいちゃんの家に飾ってある、曾じいちゃんの顔だった。ご先祖様が俺を守ってくれたのだ。
目が覚めた時には、あの卵は無くなっていた。
そう思っていた。
俺が退院して、久しぶりに実家に帰ると、その卵はテーブルの上にあった。
卵なんて、どれでも同じだと思うが、俺にはわかった。
あの卵は、あの女が渡してきた卵だ。
俺は、そっとその卵を手に取る。
その様子を、襖の陰から、コンビニの顔色の悪い店員と、古本屋の爺さん、喫茶店のおばちゃんがニヤニヤと笑いながら見ていた。
最初のコメントを投稿しよう!