1章-1 同窓会と忘れられた君

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 部屋に戻りスーツに着替えなければいけないけど、正直面倒くさい。成人式に出席するのもぷぅだけど、その後には中学校の同窓会が予定されていて、あまり参加したくはなかった。  中学時代のことはあまり覚えていない。いや、むしろ覚えていないのではなく、忘れてしまったのかもしれない。友人も少なかったし、印象的な出来事も特になかった。無理矢理消していたんだろう。同時に、奈良崎に片想いをしていたことも、消したい過去の一つにしてしまっていた、のかもしれない。  だけど、奈良崎の夢を見たせいか、参加してみても良いんじゃないかと思い始めている自分がいたのだ。  卒業してからだから、会うのは大体5年ぶりくらいか。  奈良崎も参加するだろうか。話すことは出来ないとは思うが、遠巻きにその姿を見れれば十分だ。  どうせ頭も運動神経も良いイケメンの彼氏がいるのだろうし、知らない方が幸せなこともあるのだ。  と自分に言い聞かせるように、頭の中で呟いていた。
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