119人が本棚に入れています
本棚に追加
「でも休みに食事に行くのは良いんだよね?」
「それは、…さっきのランチでもういいんじゃ…」
目を合わさずに、しどろもどろで答えた。
「さっきのランチは打ち合わせ。食事が目的じゃないから入らない」
打ち合わせなんて、直ぐに終わったのに…!
と思ったけれど、もちろん反論なんて出来ない。
「…分かりました。約束でしたし、私はかまわないですが…」
「かまわないけど何?」
意を決めて、そっと逸らしていた視線を二神さんに戻すと、口を開いた。
「えっと…。定休日とか、そんな貴重でせっかくの休みなのに、私でいいのですか?」
私の問いに二神さんは、片眉だけぴくりと動かした。
わ…! 私やっちゃった?
二神さんを怒らせてしまったかも…。
二神さんはさらにふうっと、重いため息を吐いてしまった。
…どうしよう。やっぱり二神さん、怒ってる。…怖い…。
ライオンに追い詰められた、絶体絶命の小動物の気分だった。息の根を止められる!
…と思うほど、この沈黙、苦しい。
さっきからずっと胸はバクついているし、背中はじんわりと汗をかいている。
一度車から飛び降りて、深呼吸したい気分だった。
最初のコメントを投稿しよう!