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「二神さん、お昼ごはんご馳走様でした。打ち合わせも、忙しい中ありがとうございました」
カフェから出るなり私はぺこりと頭を下げた。
「お礼は美崎さんの手料理弁当」
「それは無理ですっ!」
手を顔の前で振り、大慌ててで拒んだ。
「最近プレジール近くのコンビニ弁当ばかりなんだ。いい加減飽きた。美崎さんの弁当が食べたい」
二神さんはスマートな動作で、私の為に助手席のドアを開けてくれた。
「食事する約束、覚えてる? 来週の定休日、予定空けておいて」
凄く近い距離でにこりと微笑まれ、すんなり車に乗り込むことができない。
胸の鼓動だけが、どんどん速くなっていく。
「久しぶりに仕事のアポがなくて、ちゃんと休めそうなんだ」
…二神さん、だから不意打ちが過ぎます!
再びお弁当差し出せと言われて、まだそれにもちゃんと答えていないのに…。
私は目を見開き、なんて答えたらいいのか分からなくて、固まったまま言葉を探した。
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