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ここ数日、仕事中二神さんと二人きりになることは何度もあった。
でも、交際を申し込まれたのは幻だったんじゃないかと思うほど、ただの一度も二神さんは仕事モードを崩さなくて、
態度も変わらないし、今の私には手に負えなくて、例のお付き合いの件は大事に心の奥に収め、蓋をした。
それなのに、今日その蓋を突然二神さんに開けられてしまい私は…
うん。もう、訳が分からないくらい、激しく動揺してる…!
「…美崎さん? 乗らないの?」
「乗ります! お邪魔します」
不思議そうに二神さんに顔を覗き込まれて、肩が跳ねた。
その近さに耐えられなくなった私は、慌てて車に乗り込んだ。
ガチャガチャと急いでシートベルトをしながらも、ひたすらどう答えたらいいのかと引き続き考えを巡らせる。
一方の二神さんは、運転席に乗り込んできてもゆったりと座るだけで、シートベルトをする気配がなかった。
二神さんの視線を感じ、私はごくっとつばを飲み込んだ。
…これは、私の返事待ち、てことでしょうか…。
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