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「……二神さんが、お仕事大変なのは存じてます…」
私は、自分の膝を見ながらゆっくり口を開いた。
打ち合わせは内容にもよるけれど、平均二時間はかかる。それを二神さんは昨日四件もこなしていた。
しかも新郎新婦の予定に合わせて、打ち合わせは夕方、または夜が多い。
私は残業しても九時過ぎには家にいるけれど、きっと二神さんは深夜遅くまでプレジールにいるのが普通。
どう考えても今の時期、大変なのは私より二神さん…。
私は視線をあげて、二神さんを見た。
「…二神さんの健康状態は気になりますが、まだ梅雨も明けていませんし、夕方に私の食べ損ねたお弁当を食べて二神さんがお腹壊したら大変です。私のお弁当は…諦めてください。
それに私のお弁当なんかでは二神さんへのお礼に値しないと思います!」
「よっぽど俺にお弁当食べさせたくないんだね。残念だけど分かったよ」
二神さんに苦笑いを向けられ、胸にずきんと痛みが走った。
思わず、二神さんから視線を逸らしてしまった。
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