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次の日、二神さんに言われた通り、仕事場であるプレジールに誰よりも早く出社した。
早く着き過ぎたため、就業時間までに一時間以上ある。
私は敷地内にある庭の手入れと、掃除をすることにした。
実はこの庭には、数日前に二神さんからもらったピエールドゥロンサールの薔薇が少しだけ咲いている。
蔓はそんなに伸びてはおらず、花数も少ない。
普段の私なら、ぽつぽつと咲いている花の姿やこれから咲こうとしている蕾を目にすると、思わず頬を緩ませた。
だけど今日は微笑んでしまう余裕なんてなく、薔薇が目に入った瞬間叫んだ。
二神さんに、薔薇の花束を貰った時のことを思い出して。
結局昨夜は早くにベッドへ入ったものの、寝付けなかった。
興奮が冷めず頭は冴えたままで、考えることは二神さんのことや、プランナーのこと。そして二神さんのこと…。
同じことが脳裏に浮かび、二神さんの言葉や笑顔がメリーゴーランドのようにぐるんぐるんと回り続けている。
「もうーーっ。私、これからどうすればいいの!?」
「何か悩み事ですか?」
「ひゃああっ!」
お水をあげながら薔薇に向かって話しかけていた私は、思わず肩を跳ね上げた。
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