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「あ、はい。かしこまりました。お預かりいたします!」
郵送ではなくて、わざわざこんな朝早くに届けてきたことに少し驚きながらも私は見積書が入った封筒を受け取った。
「お花の量や、種類にもしも変更がございましたらすぐに対応させていただきますので、二神さんにそうお伝えください。それでは」
榎木さんはにこりと笑うと踵を返し、すぐにプレジールから出て行こうとした。
「あ」
そのまま停めてある車の方へ行こうとした榎木さんは何かを思い出したらしく立ち止まり、振り向いた。
「…今日、これから雨が降る予報でしたよ。お花にお水は必要ないですからほどほどに」
一瞬空を仰ぐ。
「あ、はい。そうですね…」
家を出た時はまだ雲は少なく青空がのぞいていたけれど、言われてみれば今は雨雲が頭上に広がっている。
私がありがとうございますと頭を下げると榎木さんもぺこりと頭を下げてきて、今度こそショップのロゴが描かれた車に乗り込み、プレジールを後にした。
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