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「二神さん! 配るの手伝います!」
「もうほとんど配り終えたから大丈夫だよ。それよりこれ、美崎さんと滝野さんの分のケーキ。どうぞ食べて」
笑顔でケーキを手渡され、思わず受け取ってしまった。
「美崎さんはそれ食べたらもう帰りな。明日も忙しいからゆっくり休んで」
「…二神さんは、帰れそうですか?」
「僕? これから打ち合わせが入ってる」
「…なにか、手伝えることはありませんか?」
私はケーキを持ったまま半歩近づき、二神さんに尋ねた。
「無いよ。美崎さんは家に帰って今のうちに明日の式に向けて体力温存して」
二神さんはニコッと笑うと、さらりとした様子で私の前から立ち去った。
そして、明日の打ち合わせなのかスタッフと何やら仕事の話を始めた。
がやがやと賑やかな事務所で、一人ケーキを持ったまま私は立ち尽くした。
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