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プレジールには二十二時過ぎに着いた。
駐車場には二神さんと支配人の車、そして見覚えのない車。
チャペルやプライズルームの灯りは消えていて、ひっそりとしている。
事務所だけが煌々と電気が点いていた。私はそっと、裏口から建物の中へ入った。
「…あれ?」
事務所の中をドアの窓から覗くと、手前に二神さんの姿が見えた。そしてその奥には…
アリスの花の…榎木さん?!
胸が、ドクンと波打ち、ざわりと騒いだ。
…そうか、外に停めてあった見覚えのない車は、榎木さんの車だったんだ。
一歩、後ろに下がる。楽しそうに談笑している二人に私がいることがばれ、気を使わせたりしないように息を忍ばせる。黙って帰ろうと振り向いた瞬間、
「美崎さん、こんな時間にここで何しているの?」
「っわあ!」
急に話しかけられ、飛びあがって驚いた。
「し、支配人! 驚かさないでください!」
私の真後ろには年齢不詳のここ、プレジールの支配人が、にこにこと微笑みながらたっていた。
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