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「…では??」
ピッと電話を切った二神さんを、目を丸くして見つめる。
「支配人は、戸締りしてそのまま帰ったみたい。裏口と駐車場のチェーンの鍵を頼まれた」
「ええっ! そんなっ。支配人帰っ…」
「うん。それより早く美崎さんの差し入れ食べたい。おいで」
再び手を引っ張られ、仕方なく二神さんの後を付いていく。
二神さんはデスクではなく、事務所の一角にある広いテーブル席に移動すると、やっと繋いでいた手を解いた。
そして、紙袋から私の作り立ての料理が入ったタッパーを取り出し始めた。
「すみません。入れ物そんなのしかなくて…」
自分の作った料理を机の上に広げられ、すんごく恥ずかしくなった。
二神さんは「いただきます」と手をそろえて言うと、早速唐揚げをお箸でつまみ、口に運んだ。
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