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「…お味、どうですか…? 口に合います?」
もぐもぐと食べる二神さんの顔を覗き込みながら尋ねる。すると二神さんはごくりと飲み込んでからにこりと笑みを浮かべた。
「すごく美味しい。お肉柔らかいし、下味も俺好み」
さらにパクパクと口に運ぶ二神さんの姿を見て、ほっと胸をなでおろした。
安心したらぐうっと私のお腹が鳴った。
きゃーっ。 二神さんに聞かれたかも?!
咄嗟にお腹を両手で抑えた。
「…もしかして美崎さん、ご飯まだ?」
「お腹の音、聞こえちゃいましたか?!」
恥ずかしくなって、笑って誤魔化した。
「…作るのに夢中で、まだ…です」
「ごめん。気が回らず一人で食べて…じゃあ、美崎さんも一緒に食べよう。ほら」
二神さんは唐揚げを一つお箸で持ち上げると、私の口に向かってなんと差し出してきた。
「…え」
「口開けて」
同時に声を発した。
にこりと微笑む二神さんからは、全く手を下げる気配がない。
…これって、もしかして…
私は激しく動揺し、目を泳がせた。
「私は、いいです!」
「美崎さんの手料理、美味しいよ。いいから食べてみて」
キラキラ笑顔て二神さまは、さらに唐揚げを私の口元に近づけた。
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