107人が本棚に入れています
本棚に追加
「美崎さん…。そんなに慌てて食べなくても…」
私の様子を見て二神さんがくすっと笑った。そして私の顔の方へと手を伸ばしてきた。
「え。え?!」
びっくりして、その手から逃れようと体を逸らしたら、
「逃げたら駄目。じっとして」
小さな子供を叱る様に、二神さんは言った。
言われた通り大人しくしていると、すっと、二神さんの指先が私の唇の端に触れた。
「ツナがついてた。あれ、まだ取れてない」
言いながら顔を近づけられてしまい、驚き過ぎて私はピクリとも動けなくなった。
二神さんの大きな手が私の頬に触れ、顔を固定する。
真剣な瞳で私の唇を見つめ、二神さんのもう片方の手の指先が、優しく私の唇をなぞる様に触れた。
二神さんは視線をすっと上げ、「取れたよ」と、微笑んだ。
どかんっと爆発し、燃えたんじゃないかというくらい、全身が熱い。
…き、き、キス。…されるみたいだった…。
そんなことを想像してしまった自分がとても恥ずかしくて、死にそうだった。
最初のコメントを投稿しよう!