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「…今日、二神さんの企画で深谷さんにサプライズしたでしょ。バースデーケーキを準備してたなんて私、知らなかったです。しかも発案者が二神さんなんだってことも初めて知って、ビックリしました」
「…まぁ、自分から普通は言わないよな。これ、俺が発案って」
二神さんはくすりと笑いながら言った。
「…正直言えば、悔しくなりました。私、二神さんに驚かされてばっかりだって気づいて。二神さんとの距離を感じたのです」
「…距離を?」
微笑みながら私は、言葉を続けた。
「尊敬できる上司をまずはちゃんと見て、知ろうと思いました。それに二神さんは人を喜ばせたり、驚かせてばかりでしょ。じゃあ二神さんを喜ばせられるのは誰? もし私が喜ばせることが出来たなら、少しは近づけるかもしれないと思ったのです」
私はちょっと照れくさくなって、誤魔化すために笑みを浮かべた。
「だけど、喜ばせようと考えて浮かんだのは、手作りのお弁当しかなくて…。安直で単純でしたね。驚かせるならもっと工夫をしなくちゃ」
「なんだ。そっちか」
「ん?」
二神さんの『そっち』が分からなくて、一瞬首を傾げた。
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