*突然の訪問*

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「…いや、とても驚いた。今日再び美崎さんに会えるとは思ってなかったから」 二神さんは優しい声で言った。 「上司としてでも嬉しい。今一番俺がされて喜ぶことだったよ。ありがとう」 丁寧にお礼を言われて胸が熱くなった。 「…サプライズ、成功ですか?」 「うん。大成功」 「よかったぁ!」 嬉しくて、思わず飛び跳ねて、私の方が二神さんより喜んでしまった。 「名残惜しいけど、そろそろ帰ろうか。明日も七時集合だし、…美崎さん、大丈夫?」 「…大丈夫です。あとは帰って寝るだけですから!」 終電前だったけれど、お弁当のお礼という名目で再び二神さんに送ってもらうことになった。 急いで荷物をまとめ、帰り支度をすませる。 「…あれ? 二神さん傘持って来てたのですか?」 事務所を出ようとしたとき、ふと私は二神さんのデスクまえに置かれた黒い傘が目に入った。
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