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「美崎ちゃん、手伝ってくれてありがとう! じゃあさっそく、明日の式で変更のあった列席者の人数確認、一緒にしてもらってもいい?」
「はい!」
式前日なのに数人もの変更があったらしく、席次表を読み上げながら二人でチェックしていく。
確認はすぐに終わり、変更したデータを保存していたら、急に照明がパッと落ちて辺りは暗くなった。
「へ?」
驚いて私はパソコンから視線をあげる。
外は雨で、日が長くなったとはいえ事務所内は少し薄暗い。
訳が分からず私は周りをきょろきょろした。すると、どこからともなく聞き覚えのある曲が流れてきた。
メロディーに合わせて事務所にいた人たちが手拍子をしながら歌い始める。
事務所のドアが開き、温かなオレンジの火を灯した大きなケーキが現れた。
「誕生日おめでとう。深谷さん!」
深谷さんは、経理担当の事務の女性だ。
あ、そうだった。今日は深谷さんの誕生日!
深谷さんが誕生日なのは事前に聞いて知っていた。というのも、数日まえに伝言板が回って来たから。
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