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「ずるい…かな? ごめん。真正面から勝負しているつもりだった」
言いながら二神さんは私の顔に手を伸ばした。思わず肩に力を入れ、目をぎゅっとつぶり縮こまった。
「ただ思ったことを正直に言って、行動すると決めただけ。好きな人の笑顔を一番そばでたくさん見たいから」
驚いて目を見開く。私の反応を見た二神さんはふっと息を逃し、静かに手を引いた。
「美崎さんにはその場の勢いで決めて欲しくないから返事は待つ。焦らないからゆっくり考えてくれないかな。でも、目は逸らさないで」
…二神さんに真っすぐな気持ちをぶつけられ、心が揺さぶられる。
胸が、どうしようもないくらい熱い。
恋愛経験は、二神さんの十分の一もないけれどそれでも多少分かる。
普通、真正面からぶつかったらその分自分も傷つく。
今のように相手に拒まれたら、私なら逃げ腰になる。
それなりに恋愛の経験を積んだ大人は、必要以上に傷つかない様に事前に上手くいかなかったときの保身を図る。
自分が上位でいるために、駆け引きだってする。それなのに、
…二神さんは、フラれるのが怖くないのだろうか?
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