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「他に質問はない? なかったら、今度こそ帰ろうか」
二神さんは前を向くと、エンジンをかけシートベルトをした。
「帰り、すっかり遅くなったね。ごめん」
「いえ。質問して運転の邪魔をしたのは私なので…」
車を走らせる二神さんの横顔を見つめた。
「今日は本当にありがとう。手料理すごく美味かった。また次もよろしく」
「…次はお仕事手伝わせて下さいね」
「…只働きでいいなら」
「只働きでもいいですっ!」
無償でも二神さんのお仕事を手伝えば、学ぶことはいっぱいある。
私は早く一人前になりたかった。
それで間髪入れずに言ったら、二神さん的には信じられなかったらしい。
運転しながら一瞬こっちを見た。
「…只働きは冗談。その気持ちだけは受け取っておきます」
ちょっと困った様子で至極真面目に答えてくれた。
本気ですからね。手伝わせて下さいね。と念を押していたら私のアパートに着いてしまった。
二神さんは、明日遅刻しないように。と微笑み言うと、いつものように颯爽と帰って行った。
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