*薔薇の花言葉*

2/11
前へ
/29ページ
次へ
「ピエールドロンサールは私の大好きなお花です。…嬉しい。二神さん、気持ち聞かせてくれて、ありがとうございます」 私は薔薇の花束をぎゅっと抱きしめた。 「本当にとても、嬉しいです。でも…」 私も、気持ちを伝える。 ちゃんと伝えなくちゃと意識すると、一気に緊張が全身の筋肉を強張らせた。 声が喉に引っかかって、出てこない。 心臓だけが尋常じゃないくらいバクバクしていた。 「二神さん、私っ…」 目を伏せ、時間をかけて何とか声を絞り出そうとした時だった。 「美崎さん…」 二神さんの静かな声が、耳に届く。 私は俯き気味だった顔をパッと上げた。 私の目に映ったものは、少し困った様子で、眉尻を下げている二神さんの表情だった。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

81人が本棚に入れています
本棚に追加