81人が本棚に入れています
本棚に追加
「ピエールドロンサールは私の大好きなお花です。…嬉しい。二神さん、気持ち聞かせてくれて、ありがとうございます」
私は薔薇の花束をぎゅっと抱きしめた。
「本当にとても、嬉しいです。でも…」
私も、気持ちを伝える。
ちゃんと伝えなくちゃと意識すると、一気に緊張が全身の筋肉を強張らせた。
声が喉に引っかかって、出てこない。
心臓だけが尋常じゃないくらいバクバクしていた。
「二神さん、私っ…」
目を伏せ、時間をかけて何とか声を絞り出そうとした時だった。
「美崎さん…」
二神さんの静かな声が、耳に届く。
私は俯き気味だった顔をパッと上げた。
私の目に映ったものは、少し困った様子で、眉尻を下げている二神さんの表情だった。
最初のコメントを投稿しよう!