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「…戸惑うよな。ごめん」
二神さんは静かに言葉を続けた。
「こないだまでしれっと上司面してたのに、こんな場所まで連れてこられて急に言われても困るよな。美崎さんにとって俺がそんな対象じゃないことくらい分かっているし、断って仕事中気まずくなるとか、考えなくていいよ」
「違います! 私は、その…」
言わなくちゃ。自分の気持ち、ちゃんと二神さんに今言わないと…!
でも、なんて言えば信じてもらえる?
タイミングを逸してしまい、焦れば焦るほどに、言葉が口元で縺れた。
「俺に想われるのが嫌ならそうはっきり言ってくれていい」
鈍い痛みを胸に感じた。
「…美崎さんが俺のことを嫌っているのは分かってる。だから、迷惑なら遠慮せず言って欲しい」
胸の痛みが徐々に強くなって、さっき以上に焦りが濃くなった。
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