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「…言えません」
私は真っすぐ二神さんを見て言った。
「…気を使わなくていい。言っても仕事での関係は今まで通り変わらな…」
「私、前にも言いました。…二神さんのこと、嫌いじゃないです」
このまま誤解させてしまいたく無くて、必死だった。
「…本当に? なんか今もすごく困っているように見える」
ふっと笑う二神さんを見て、誤解が解けていないと悟った私は、さらに気持ちが逸って一歩、足を前に進め近づいた。
「本当です、嫌ってなんか…」
「美崎さんが俺のこと嫌いじゃないのなら…」
「わっ?!」
急に二神さんは私の手を掴んできた。腕から花束がずれ落ちそうになったけれど、持ち直す余裕はない。
お互いの近さを認識する前に二神さんは、囁くように、静かに言った。
「…ごめん。諦めない」
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