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「…二神さん、待って!」
二神さんの一線を引いた笑顔を見て、私がもたついている間に傷つけてしまったことは、すぐに気が付いた。
「ごめんなさい。待って下さい。ちゃんと私の気持ち、言いますから…」
込み上げてくる想いが大渋滞して喉に突っかかっている。
胸がとても熱くて、目頭も熱い。
だけどそれが何?
相手が誰だろうと、言葉にして伝えないと、伝わる物も伝わらない…!
「私も、最近気づいたばかりで、まだ戸惑っているのです」
離されてしまった距離分を私からそっと、詰めた。
「自分に自信がなくて…伝えてもいいのかなって…」
私は、さらに二神さんに近づきながら、自分のスカートのポケットに手を忍ばせた。
「…二神さんに、私も見せたいものがあります」
「見せたいもの?」
こくりと頷き、緊張でカラカラになった口を開く。
「…私、ここ最近ずっと、…悩んでいました。この気持ちは二神さんに告白されたから流されて抱いた感情じゃないって、どうしたら伝わるかなって、分からなくて…」
「待って。つまりそれって…」
「二神さん、これ…なんだか分かりますか?」
私は勇気を出して、手に持っているものをそっと二神さんに向けた。
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