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「引くわけないだろ。思いもしなかったから驚いた。こんなすごい物、良く作れるね」
「そんなにすごくはないです。…でも、確かにこの子は大変でした。お花大きいし、薔薇って組み立てが大変でバランスが…わッ!」
スマホケースを見ながら一生懸命説明していると、二神さんは急に私を抱きしめてきた。
二神さんの匂いと温かさに一気に包まれて、鼓動が尋常じゃないくらい速まる。
「…二神さんッ! せっかくの薔薇が、潰れちゃいます…!」
嬉しいと、恥ずかしい感情がごっちゃまぜになって私を襲った。
二神さんは「本当だ」と笑いながら少しだけ、二人の間に隙間を作り微笑んだ。
お互いの呼吸が分かるほどの近さで、二神さんの顔を直視できなくなった。薔薇をみて、花が潰れていないかを確認する。
「…二神さん、知ってます? ピエールドロンサールの花言葉…」
ドキドキしながら二神さんの腕の中、小さな声で質問した。
「知ってるよ。“愛を誓います”。だろ」
そしたら間髪入れずに答えられて、質問しておきながら私は、顔を中心に全身が熱くなった。
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