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「やだ、知って…」
「うん。仕事柄、有名な花言葉は一通り知って覚えてる」
二神さんは言いながら、私の頬に触れた。
あまりにも真っすぐ見つめられて、恥ずかしくなった。
顔を逸らそうと俯こうとしたら、二神さんは私の顔を両手で挟んで、上に向くよう持ち上げる。
すぐに優しい視線とぶつかった。
「美崎さん、俺の質問に答えてない。…ピエールドロンサールの薔薇を俺に見せた意味は?」
「え…?」
「…二神俊として、美崎さんを好きでいていい?」
凄く近い距離にくらくらする。
逃げ出したいような、泣きたいような衝動を何とか抑えて、言葉を放った。
「…ちゃんとすぐ伝えられない私が悪いのは分かってます。でも、忘れてとか…言われると悲しいです。…二神さんの気持ち、私、嬉しかったですから」
「…そんなこと言われたら俺、期待するけどいいの?」
「…期待じゃダメです」
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