*薔薇の花言葉*

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自販機の前で水分補給をしていたら、カフェの文字が目に付いた。 「二神さん! 二階にも休憩スペースがあるみたいですよ。あとソフトクリームも!」 側の幟には、ぽんかん味のソフトクリームと書かれていて、珍しくて興味を惹かれた。 「行ってみる?」 「はい!」 返事をするなり私は、ルンルンで階段を登り始める。 私のすぐ後ろを二神さんは付いてきた。そっと立ち止まり振り向くと、二神さんは私を見上げ、ん? と首を傾げてきた。 慌てて前に向き直した。 …二神さんより私の方が目線が高い。ちょっと不思議で新鮮…! しかも、なんか距離が近い…。そわそわする…! 階段を登りきる間、意識は背中に向いていた。 「二神さん、見て! 川がここからも見えます!」 二階は周辺をぐるっと見渡せる、開放感のある展望ロビーだった。 「もう! 私を置いて行かないでください!」 私が全面ガラスにへばりついて景色を見ている間に、二神さんはカフェスペースの椅子に座って、寛ぎ始めていた。 「勝手に走って行ったのは美崎さんだろ。それより何か頼んだら?」 二神さんの側に行くとメニュー表を手渡された。中を覗きながら椅子に座る。 「…ソフトクリーム!」 顔を上げるなり、私があまりにも元気に答えたものだから、二神さんにくすっと笑われてしまった。 ウエイトレスを呼ぶと、ポンカン味のソフトクリームと、コーヒーを二神さんは注文した。 コーヒーと薄いオレンジ色のソフトクリームは、すぐに運ばれてきた。
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