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「ぽんかん味なんて珍しいですよ。何なら半分、食べていただいても…」
「驚いた。美崎さんの方から食べ物のシェアしようと言ってきた」
「え!?」
言われて初めて私は意識した。
「だ、ダメでした? シェア…」
顔が一気に熱くなる。
女友達とはよく食べ物のシェアをする。
けど、二神さんは友達じゃない。
もしかして私、とんでもないこと口走っちゃった?
こいつ意外と大胆とか、思われたかも…!
「俺は駄目じゃないよ。寧ろ、心開いてくれているみたいで嬉しい」
二神さんはいつものように、余裕の表情に笑みを浮かべた。
「…こんなに美味しいんですもの。二神さんも食べたいかなって…」
「食べたかったら二つ頼んでる。だけど、せっかくだし味見させてもらおうかな」
言い終わるなり二神さんは、少し前のめりになって私に近づいた。
「…二神さん?」
「食べさせて」
「なっ!」
ぼんっと頭から温泉が湧き出そうになった。
代わりに滝汗を流す。
つ、つまり、あれですか…
お口あーんってこと?!
唐揚げを二神さんに食べさせられた時の逆パターン!
「美崎さん、まだ? ぼうっとしてるとソフトクリームが溶けるよ」
二神さんに催促されて、私は慌てた。
「……ご自分で、どうぞ。です…」
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