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「…さっきの温泉代も、ソフトクリームも奢ってもらったし、この子くらいは自分で買います。返してください!」
取り返そうと手を伸ばしても、私より背の高い二神さんに敵うはずもなく、軽くかわされてしまう。
「今日デートに誘ったの俺だし、気にしないで。それよりこのキャラクター、あっちにもっと居たよ。見てきたら?」
「え!?」
私は二神さんの指の先を目で追った。
確かに大好きなキャラクターグッズが、こっちへおいでと私を見ている。
「…二神さんもご一緒に…」
「俺はあんな可愛いエリアに入れない。遠慮しておきます。ここでこいつと待ってるから行っておいで」
ぬいぐるみキーホルダーと二神さんに笑顔で見送られ、仕方なく私は一人で見に行った。
他のお土産屋さんも堪能した後、結局、ぬいぐるみは二神さんに買われてしまった。
「もう。自分で買おうと思っていたのに。…ありがとうございます」
ふてくされた顔を作りながらも、ぬいぐるみを手に入れられて内心ホクホクだった。
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