*薔薇の花言葉*

3/37
前へ
/37ページ
次へ
「大丈夫です。喉、乾いていません!」 「本当に? 必要なら自販機か、コンビニに寄るよ?」 「いえ、結構ですッ!」 …たぶん、ずいぶん前から二神さんへの感情は芽吹いていた。 だけど私は、どうしても認めたくなかった。 畏れ多いというか、認めてしまったら、二神さんとの距離や、釣り合わなさに苦しむのは分かっていたから。 二神さんの待つという言葉に甘え、仕事を理由に見ないふりをしていた。けれど、 昨日の私は、休みなのにずっと二神さんのことを考えてしまうし、 会えたら心は躍ったし、 仕事のことで叱られた時も、好きな気持ちもあっていつも以上に余計、へこんだ。 …もう、認めるしかなかった。 苦手だった二神さんが、…今は好き。 「ふ、たがみさんッ! 今日は、どこへ行くのですか?」 二神さんを必要以上に意識していまい、熱くて焼き死にそうになった私は、とりあえず、 この二人きりという状況に慣れようと無難な質問を投げかけた。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

92人が本棚に入れています
本棚に追加