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「大丈夫です。喉、乾いていません!」
「本当に? 必要なら自販機か、コンビニに寄るよ?」
「いえ、結構ですッ!」
…たぶん、ずいぶん前から二神さんへの感情は芽吹いていた。
だけど私は、どうしても認めたくなかった。
畏れ多いというか、認めてしまったら、二神さんとの距離や、釣り合わなさに苦しむのは分かっていたから。
二神さんの待つという言葉に甘え、仕事を理由に見ないふりをしていた。けれど、
昨日の私は、休みなのにずっと二神さんのことを考えてしまうし、
会えたら心は躍ったし、
仕事のことで叱られた時も、好きな気持ちもあっていつも以上に余計、へこんだ。
…もう、認めるしかなかった。
苦手だった二神さんが、…今は好き。
「ふ、たがみさんッ! 今日は、どこへ行くのですか?」
二神さんを必要以上に意識していまい、熱くて焼き死にそうになった私は、とりあえず、
この二人きりという状況に慣れようと無難な質問を投げかけた。
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