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予想はしていたけれど、二神さんの方が先にお風呂から上がっていたらしい。
待ち合わせ場所の寛ぎスペースに行くと、二神さんはペットボトルのミネラルウォーターを飲んでいた。
「意外と早かったね。ちゃんと髪乾かした?」
側に近づくなり二神さんは、私の髪に手を伸ばしてきた。
私の全神経が髪先に集中する。
「…私、子供じゃないです。ちゃんと乾かしました!」
「本当だ、ちゃんと乾かしてる。美崎さんって普段髪をアップにしているから知らなかった。結構長いんだね。綺麗」
髪に触れられたまま至近距離で微笑まれてしまい、私の心臓はドキンと跳ね上がった。
しかもさらっと綺麗と言われしまったし、二神さんからは洗い立てのシャンプーの香り…。
「…俺、変なこと言った? 美崎さん、顔真っ赤」
二神さんに、きょとんとした顔で覗き込まれ、私の心臓はいよいよ暴走を始める。
「温泉にのぼせたのです! 私も、お茶買ってきます!」
…一先ず落ち着こう!
二神さんから逃げるように、急いで自動販売機に向かった。
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