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「ごちそうさまでした。とても美味しかったです」
「食器そのままでいいよ。後で片す」
「駄目です。二神さんもお疲れでしょ? 片付けは私がしますね」
「じゃあ、一緒にしようか」
キッチンに二人で並んだ。
あ。やっと少しは恋人っぽくなってきたかも…。
だけどやっぱり緊張する。
食器類は食洗機へ入れる。洗剤のついたフライパンを水ですすぎながら、時々触れる肩や腕に神経が集中した。
「…二神さん。やっぱり片付けは私一人で大丈夫です! どうぞ、お風呂でも入ってきてください!」
状況に耐えられなくなって声をかけると、二神さんは一瞬私を見てから優しく言った。
「分かった。片付け済んだらテレビでも見て寛いでて」
「はいっ! 承知しました!」
「勝手に帰るなよ。今日は帰さないから」
「か…ええっ!?」
二神さんはふっと笑うと、さっさとお風呂に向かわれた。
「帰さないなんて…そんなっ…! 困る!」
明日は二人共仕事がある。シャツは借りたけれど、さすがに下着は家に帰って変えたい。
それにメイク道具とか、その他いろいろ、足りない。
なにより、
「お泊りなんて…無理!!!」
洗い物なんて放り投げて、今すぐ逃げ出したくなった。
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