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…思い出した。
確かにあの時、アンケート用紙と一緒に、ブライダルフェアの様子を撮影し、使用する等の記載用紙をもらった、かも…?
「うん、載せられたらまずい。だからプランナーの百瀬さんに連絡して丁重にお断りした。そしたら言われたよ。『二神さんってプレジールのプランナーの二神さんじゃありませんか?』って」
二神さんはあっけらかんとした様子で笑っているけれど、私は目が乾くくらい見開き固まった。
「…私の演技が下手だったから…」
…二神さんがしたかった話って、このことだったのかな?
上手く立ち回れなかったことに落ち込んでいると、二神さんは、私の頭を優しく撫でた。
「心配いらない。婚約者は本当になったし」
ぐっと二神さんの手に力がこもる。
二神さんの肩に私の頭が乗っかる。優しく、抱きしめられた。
「…バレてしまっているのなら、仕事の妨害だ! とか言って訴えられたらどうするんです!?」
近すぎる距離を意識して、私は隙間を作ると尋ねた。
「大丈夫。僕たちは婚約者で、結婚前提に付き合っているわけだし、式場のブライダルフェアだって行く。一般の客だよ」
「…それは、結果論で、後付け…」
「まだ異議があるなら、その唇塞いでいい?」
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