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二神さんと相思相愛って、やっぱり奇跡だ。
改めてすごいことが起こっているんだと思うと、胸がときめき過ぎてしびれる様な感覚がした。
ドキドキしながらゆっくり口を開く。
「…私も、距離を縮めたいです」
「だったら、何で止めるの?」
二神さんは明らかに不服そうな目を私に向けた。
「…私、まだプレジールに入社したばかりです…」
「…十分存じておりますが?」
さらに冷ややかな、訝しげな目で二神さんは私を見た。
お風呂に入ったのに、まだ背中にだらだらと汗をかく。
その状態で私はごくっとつばを一回飲み込むと、重い唇を開いた。
「…こないだしていただいた告白で私、はいって答えましたが…け、結婚は…もう少し、待っていただけたら…です…」
「え?」と小さく声に出して、二神さんは反応した。
二神さんは婚約前提にって告白してくれた。だから、勝手なのは分かってる。
子供の私を、あの二神さんが選んでくれたんだ。
身に余る光栄、拒むなんて…何様だって自分でも思う。だけど…。
浮かれてふわふわする足元を一度、ちゃんと見つめ、確認したい。
自分の立ち位置やこれは、現実なんだってことを。
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