*花嫁の憂鬱*

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このままって言われても、とても無理な態勢です…! 腰をひねり、ちょっと辛い。でも私は言われた通り大人しく抱きしめられ続けた。 二神さんは私の理想の上司だった。 だけど今、この腕にいる人は上司なんかじゃない。 私の、大好きな人。 学生の時はただみんなの憧れの王子、高橋くんを遠く眺めるだけで満足だった。 でも、二神さんは眺めているだけで満足なんてできない。 …頑張ろう。仕事も、この恋も。 何十年か後、よぼよぼのおばあさんになって死ぬ間際、 私の人生は幸せだったと物語を締めくくれるように。 力いっぱい。頑張ろう。 私は二神さんの背に手をそっと回すと、ぎゅっと抱きしめた。
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