甘く危険な香り

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秋がこの世界から別れを告げた。 気づかぬうちに一方的な形だった。 暑苦しい目眩がする日々は、10月に入ると突然に冷たい夜風が孤独を嘲笑う。 全ては一瞬で変わる。 僕はこれを備志録としてここに残す。 再び、彼女との再会の前にね。 僕の名前は山田直勝40歳。 職業は、大きな声では言えないが、新手の風俗産業だ。 去年から、ラブドールに人感センサーをつけ、VRをお客様に装着することでセックスを楽しむ例のサービス。 世が違和感示したのは出始めの数週間。 あとは、好きなアイドルの画像や声を持ち込み、もはや吉原は断固として「生派」を貫いてるが、実は僕の店に昨日から吉原ナンバー2の敏腕マネージャーが移籍した。 まぁ、話は元に戻すとしよう。 例の声の話だ。 あの恐ろしい声の話を書かねばならない
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