3. 奇妙な出会い

2/9

16人が本棚に入れています
本棚に追加
/91ページ
3分ほど歩いて着いたファミレスは、台風の影響でほとんど客がいなかった。広めの席に案内され、向かい合わせで座る。男はタオルで顔を拭きながら店員に「ドリングバー2つ」と無愛想に注文すると、まだ困惑している俺に話しかけた。 「お前、いくつ?」 「え、23だけど」 「よかった成人済みか。高校生かと思った」 「……そうだよ童顔なんだよ…」 急に気にしていることを言われてへこむ。金髪にしていても幼い顔のせいで浮いて見えて、客によくからかわれていた。 「まあ、それなら話は早いな」 「……何のこと?ていうか、あんた一体誰?」 「コーヒーでいいだろ?」 「は?」 「飲まねぇの?コーヒー」 話の腰を折るなよ!と内心憤りながらこくりと頷くと、男は席を立った。 その間自分に起きた事態について今一度整理しておくことにした。何しろさっきからずっと混乱していたんだ。 店で盛大にやらかし、ボコられ、中身はほとんど入ってなかったとはいえ財布をとられ、ふらふら歩いてたらあの男がおかしな台詞と共に手を差し伸べてきた。そして無理やり連れてこられて今にいたる。 うん、やっぱり変な話だ。とにかく、あの男のことを知らなくてはいけない。危険だと思ったらすぐに逃げなくちゃ。
/91ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加