飲み込む痛み

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 日曜がイブの金曜の夜。  必要以上のイルミネーションは夜の街を明るく照らし  頬を刺すような風の冷たさを今日だけは楽しんでいる行き交う人々  歩道には、周りを気にもしないで自分たちしかいないと思い込んでいるような恋人たちが隙間もない程に寄り添い、学生の集団が大きな声で笑い騒ぐ  レストランの前には行列ができていて肩を竦め弾むように足踏みをする姿  ケーキ屋の前ではサンタのコスプレで、積み上げられた箱を一つでも多く売ろうとアルバイトが寒さで鼻を赤くしながら声を張り上げている。  コンビニの前にもチキンの入ったホットケースとケーキの箱が並ぶ  いつもなら舌打ちをするような光景  そんな事すら気にならないほどに今の俺はおかしい。  宮沢とかぶって見えた女の背中と声に支配されて呼吸が上手くできない  消えない映像を自分の中から追い出したくてコートに突っ込んでいる手を爪が食い込むほどに握り、何かから逃げるように前だけを睨みつけ歩き続ける。  たぶん…  きっと…  もう二度と女を買えない
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