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カフェ・オリエンタリスには、庭があって、向日葵も咲く。
近くを通ると、きれいなメロディーが聞こえることがある。
そんなカフェ。
いつ来てもきれいに花が咲いていて、心が華やいだ。
時折聞こえるピアノの音色や歌声は心を弾ませてくれたり、落ち着かせてくれる。
そして、いつもマスターが味わわせてくれる季節のメニューはどこか心がくすぐられるようだった。
「いらっしゃいませ」
黒いエプロンを纏ったマスターが笑顔で出迎えてくれる。
休日ということもあって夕刻の店内は賑わっていた。
夕焼けに照らされる花やグリーンに惹かれて窓際の席に座った。
様々な色に彩られた庭は、夏という季節をモザイク画のように表現しているようだった。
手描きのメニューを手に取り、何にしようかと迷う。
この暑い時期、いつもならアールグレイのアイスティーを飲むことが多い。
時折、近くのパティスリーから届けられるという季節のお菓子を一緒に注文することもあるのだが、今日は迷ってしまいすぐに注文できずにいた。
「今日は夏らしいセットを用意しているのですが、いかがですか?」
悩んでいる私にマスターがそばに来てくれて話しかけてくれる。
「夏らしい?」
「はい、向日葵をイメージしたレアチーズケーキに、この暑い時期にぜひ飲んで頂きたいアセロラのドリンクです」
「いいですね、じゃあ、いただきます」
何度来ても感じることだが、ここのマスターはいつも温度のある雰囲気を纏っている。
もちろん容姿がそう思わせるのだろうところもあるのだろうが、それだけではない。
声や物腰、所作などが影響していると思う。
そして何より笑顔だ。
彼の笑顔は心地よい風に吹かれるように心をほぐしてくれる感覚があった。
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