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「メリーさんって怪談知ってる?」
海外に長期出張していた恋人の加奈から帰国の連絡をもらった。半年間、何度も電話やメッセージのやりとりはしていたものの実際に会えるとなると喜びもひとしおだ。会えるまでの時間がお互いにもったいなく、ずっとメッセージのやり取りをしていた。
彼女は僕との会話をずっと途切れないようにする為にわざわざネット通信ができる航空機を手配したほどだ。二人の近況やくだらない話を繰り返していると会話はいつまでだって途切れなかった。
彼女が飛行機にのって三時間ほど経った頃、彼女がメリーさんの怪談の話を始めた。ちょうど会話の隙間のようにできた時間で何となく彼女が口にした。
「子供の頃、本当に怖かったなぁ。私大事にしていた人形があって、随分古くなるまで持ってたんだけどお母さんが捨てちゃってさぁ。あの子があの怪談みたいに私の所の来るんじゃないかって」
「加奈って怖がりだもんね」
「うるさいなー。子供の頃だよ」
頬を膨らませている顔が想像できて愛おしくなる。
「あ、もうすぐ着陸だ。また後で連絡する」
三十分ほどたった頃、ピンポーンと携帯がなり再び彼女からメッセージが届く。
「今、空港出たよ。これから電車に乗るね。さっきの話の続きだけどさ。あれって不思議だよね」
「何が?」
「だって、メリーさんって電話かけてくるじゃん? あの電話どうして出るんだろうって。電話にでなければメリーさんも近づいてこないんじゃないの?」
「まぁ、都市伝説だし。電話に出ないのも怖いじゃん」
「それもそっか。山手線乗ったよ。直接、君の家に行くよ」
彼女も僕にすぐに会いたいらしい。僕も同じ気持ちだ。
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