『AさんB君C、D君と私』

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 これは、女子会仲間のAさんからメールで頂いた話です。  Aさんは、男友達のB君と喫茶店で話をしていた。B君は、友人が心霊スポットでいなくなった、と言った。Aさんは、またいつものホラ話かと、話半分で聞いていた。  B君は仲間のC君D君と三人で山奥にある廃ホテルへ向かった。廃ホテルは、有名な心霊スポットで、服毒自殺したオーナーの一家、父、母、息子二人に娘一人の霊が出ると言う噂があった。事件自体は実際にあったもので、実際には、イジメで精神的に異常をきたした子供が一家を惨殺したと言うものだった。  B君一行は、そのホテルを探索。一階は埃まみれではあるものの、スプレーで落書きされた壁紙を張り替えれば、再営業も不可能ではない状況。特に恐怖を感じる事は無かった。  二階は、落書きこそ無かったが、天井の板も壁紙も剥げ、床も抜けそうな状態。足元に気を付けながら歩いたが、悪寒以外は特に何も感じない。  二階で螺旋階段を見つけて降りた。二階分の段数。つまりそこは地下一階。八畳ほどの大きさで、キングサイズのベッドとガラス張りのバスルームがあった。部屋の家具は一流品だが下品な調子。特に四脚ある椅子は、地獄のゴミ箱から拾ってきたような不細工な物だった。 一呼吸入れた瞬間。  腐臭が鼻を突き、空気の淀みが肌を揉む。懐中電灯で照らした先には、崩れた人の形が蠢き、大きく口を開いた。B君が目を見開くのと同時に、耳の奥に叫び声が刺さった。そのまま懐中電灯をバトンのように握りしめ、螺旋階段を最短距離で駆け上がった。
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