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グシャリ、
なにかが腐ったような酸えた臭いと上がってくる酸っぱいものを必死でこらえながら、床に転がっていた。
初めからここに光らしい光はなく、地面に近いところに心もとない足元を照らすだけの常備灯が痩せ細った腕をかろうじて陰影をつけ照らす。それをまるで他人事のように、彼女は見つめていた。
腹は減っているはずであるが、異臭漂うそこでは、喰う気力すら奪われ、出すものを出しきったであろう痕跡は、彼女の体からも暗いながらも微かに写し出される汚物からも想像は容易い。
ここは地獄かもしれない。
(死ねば楽なる……?死ねないくせに)
ぐっと、拳を握る。
少し動いた手は何かに触れた。
光がない中でそれは目映いほど光っていた。金属、正確には金メッキされた銃弾のペンダント。
(白い髪のあの人……)
幼い記憶が、彼女を飲み込む。
(生かされた命を、生かしてくれた人のために使えないとしてもあの人は許してくれるだろうか)
辛さを噛み締めながらペンダントを握った。
(うん、それでも)
全ての気力を振り絞り、彼女は叫んだ。
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