Act.1

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  「17時に正面玄関まで下りてこい。お前の上司には俺から伝えておく」 「えっ!? あの、待って下さい…! 突然言われても困ります…!」 「予定でも入っているのか?」 「そ、そういうわけではなくて…」 射るように見つめられ、愛未はまたも口を噤んだ。 煮え切らない様子の愛未に悠斗は静かに目を細める。 上司には悠斗のほうから伝えておくと言われたが、それでも疑問は残る。 今まで一方的に存在を認識するだけだった自分がなぜ悠斗によって呼び出され、パーティーの同伴者に選ばれたのか、やはり理解しがたいことだったからだ。 「予定はないんだな?」 悠斗はおもむろに腰を持ち上げた。 軋んだチェアがくるりと回り、悠斗のつま先が愛未のほうへ向く。 上質なスーツを難なく着こなす悠斗は背が高い。家柄なのか、堂々とした立ち姿は指の先まで優美だ。 バランスのよい体幹としなやかに伸びた四肢はモデルさながらである。 もちろん姿勢だけではない。 涼しげに筋を通した鼻筋。頬から顎にかけて一切の無駄を省いたシャープな輪郭。 切れ長の二重瞼の目には畏れを抱かせるほどの目力があり、輪郭に収まるパーツはすべて絶妙なカタチでバランスよく配置されている。 清潔感のある黒髪にも艶があり、悠斗は後ろへ流すように撫でつけていた。 見上げる体勢となった愛未は「…はい」と、辛うじて頷いた。
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